日本Webリポート&ニュース

2008-01-02 (水)

ホームレスの餅つき「雑煮で栄養を」

 東京・隅田公園で大晦日恒例となっているホームレスの餅つきが行われた。公園の中でも一段高く陽当たりの良い築山では毎週日曜日に炊き出しがある。餅つきはここであり、1時間も前からホームレス約50人が集まった。隅田公園は山谷にほど近いこともあってホームレスのメッカだ。

  参加者は代わる代わる杵を握った(隅田公園。撮影:いずれも筆者) もちつき.jpg  

 食事の支援基地となっている山谷の城北福祉センターから蒸し上がったもち米が届いた午前11時頃には200人余りに膨れ上がった。参加者たちはもち米が到着する直前に移動式のテーブルを組み立てた。ホームレスも支援者も毎週の炊き出しで慣れている。長さ10m近くある巨大テーブルが瞬く間に出来上がった。  

 参加者たちは代わる代わる杵を握った。「ポーン、ポーン」。よく晴れわたった冬空に水気を含んだ甲高い音が響いた。隅田川を渡る風は冷たい。

 長年、山谷で炊き出しのボランティアをしてきたというた50代の女性は「最近は支援者と当事者(ホームレス)の区別がつかなくなってきた」と話す。「ワーキングプアとか言われる人が溢れるようになったご時世だから、誰がいつ当事者(ホームレス)になってもおかしくないからね」と説明してくれた。

  ホームレスは50-60代が中心だ。厚生労働省が2003年に行った最新の調査では平均年齢は55.9歳だ。だが、今ではもっと若くなっているはずだ。ネットカフェに寝泊まりするワーキングプアと言われる若者が増え、彼らは手持ちの金が底をつくと路上にはじき出されるからだ。

 年配のホームレスに交じって30代という若い男性が杵を握っていた。学校を卒業した時がちょうど就職氷河期だった。最初に入った会社は労働条件が悪いため会社を変わったら、その会社は不景気で倒産した。

 転々としているうちに日雇い派遣労働者になり、ネットカフェに寝泊まりするようになった。年末年始は仕事がない。ネットカフェの宿泊費も捻出できないので、このところは公園で寝るようになった、と話す。彼の「現住所」は若者のホームレスが比較的多い渋谷・宮下公園だ。 
               240食.jpg
                                   用意の240食は30分でなくなった。

 毎月第3日曜日に医療相談にあたっている医師と看護士のグループも駆けつけた。倒れたまま動けず、餅つきにも参加できないホームレスを早速、診察した。とりあえず「会館(山谷労働者福祉会館)で休んでもらって、4日になったら病院に行こう」ということになった。仮に救急車で搬送しても、ホームレスだと邪険に扱う病院が多いからだ。

 診察にあたった和田雅子医師は結核が専門だ。和田医師によれば、ホームレスには結核が多い。「栄養不足で免疫力が落ちているので結核菌に感染しやすい」という。

 つき上がった餅は、プラスチックのお椀に入れ、モツ煮をかけた。「モツ入りの雑煮で栄養をつけて下さい」と支援者がマイクで呼びかけた。

 日本列島は近年にない猛烈な寒波に見舞われており、大晦日の東京地方は今冬1番の冷え込みだった。みんな湯気の立つ雑煮を胃袋に放り込んだ。用意された240食は30分ほどでなくなった。

東京:田中龍作
この記事の初出は日本インターネット新聞(JANJAN)です。 

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