日本Webリポート&ニュース

2007-10-18 (木)

紅葉 & 黄葉  (画像クリック→拡大)

9月中旬大雪山系から始まった紅葉は山から里へ、そして北から南へと広がりました。

札幌郊外の野山も紅葉が見ごろです。

じっくり味わおうと中旬、仲間と一緒に郊外の定山渓の森に入りました。 谷間の紅葉.jpg

紅葉は気温が8℃以下になると急速に進むと言います。

寒気の到来で札幌は1週間ほど前から急に冷えこみ、この日の最低気温は3.1℃、初霜を記録しました。

定山渓は札幌の山手の郊外にあるだけに、都心よりも気温は低く、渓谷となっている豊平川の両岸は見事に色づいていました。


 < 赤い葉 >


山の色づきで目立つのはなんといっても赤、紅葉です。

ヤマモミジが色鮮やかです。もみじの紅葉.jpg

京都などのもみじの名所で見受けられるイロハモミジの変種です。

百人一首でこんな歌がありました。


  奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋はかなしき 


猿丸太夫は秋はかなしいと歌いましたが、鮮やかな紅葉をみるととてもそのような気持ちにはなりません。

この辺りは鹿はいますが、「熊に注意」という立て札を見てぎょっとしました。


いずれにしても「モミジといえば紅葉、紅葉といえばモミジ」 まさに掌状のモミジは紅葉の横綱です。


赤く色づくのは必ずしもモミジだけではありません。 ヤマウルシ.jpg

おいらを忘れては困るよ、とヤマウルシが複葉の葉を赤く染めていました。(写真右)

赤色と言うよりは紅色です。

森で一番早く色づくツタウルシとともに、ヤマウルシは触れるとひどい目にあいますが、遠めで見る限り森のキャンパスの重要な一員です。


こちらはヤマブドウです。(写真下左)

こちらも紅色ですが、ツル性ですので垂れ下がっています。

またヤマウルシと比べ葉が厚ぼったく感じます。

ヤマブドウ.jpg ヤマブドウの実.jpg


ヤマブドウの葉を見ると、どうしても目を皿のようにして周囲を見渡します。

ありました。ありました。

ヤマブドウの実がたわわになっています。(写真上右)

残念ながら手の届くところではありません。

手の届くところはとっくに人間の口に入ってしまったのでしょう。

それにしてももったいない。

鳥や動物のえさになるのか、そのままひなびてしまうのでしょうか。

ヤマブドウだけでなくコクワ、マタタビなども見つけることができ、参加者は「高枝鋏みがあればなあ」と口をあんぐりです。


 < 黄色の葉 >

森が色づくのは赤だけでなく、どちらかと言うと黄色が多いです。

森を歩いているとぷ~んと甘い匂いが漂ってきました。カツラです。(写真左下)

見渡しますとハート型の黄葉をつけている大木に出会いました。カツラ.jpg

昔懐かしいカラメル、砂糖を焦がしたような匂いです。

カツラの語源は「香出」からの転訛で、古事記では「香木」と表現 されており、昔から香りで親しまれている日本の代表的な高木です。

英語でも katsura tree で立派に通用します。

黄葉した葉を揉みますと、一層香りがあたりに漂います。


カエデ科の植物は紅葉するのが多いですが、中には黄葉するのもあります。

イタヤカエデです。イタヤカエデ.jpg

比較的大きな掌状の葉が、板を敷くように重なっていることからこの名がつきました。(写真右)

樹液には糖分が多く、アリがよく樹皮を往復する木でもあります。


どんぐりの実をつけるミズナラも見事に黄葉していました。

ミズナラは赤茶けて落葉するのが多いだけに、黄色はとても新鮮に感じます。

  < 紅葉のメカニズム >

森をちょっと歩くだけでも色鮮やかな樹木にであいました。

植物は春の花だけでなく、秋の葉の色づきも花に勝る美しさです。

落葉樹はなぜこんなに色づき、しかも赤と黄色に分かれるのでしょう。


秋になって気温が低くなりますと、樹木は根から水分を吸収する作用が衰えます。

この状態のまま通常通りに葉から水分を発散すると、樹木は枯れてしまいます。

そこで気温が下がると葉と茎の付け根部分の組織がコルク状に変化し、水や養分の流れを制限します。

これによって葉の中で光合成によって作られた糖分は枝に行けなくなり、蓄積されてしまいます。

一方 葉を形成する葉緑体の中には葉を緑に見せる色素クロロフィルと、黄色のカロチノイドが含まれています。

春から夏にかけてはクロロフィルの量が多いため緑になりますが、秋になって水や糖の流れが制限されてクロロフィルが分解されると、緑色が消え、今度は隠れていたカロチノイドの黄色が表に出てくるため、葉は黄色く見えます。

また赤くなる葉は、蓄積された糖分がアミノ酸によって、アントシアンという赤色の色素が合成されるため赤く見えます。

これにより葉が緑から赤や黄色へと変化していくように見え、私たちの目を楽しませてくれます。

紅葉の美しさは、いかに多くの糖分が葉に蓄えられたかと、葉緑体がいかに早く分解されるかにかミズナラ.jpgかっています。

昼夜の気温の差が大きいほどクロロフィルの分解が早まりますので、気温の落差は紅葉にとっては重要なポイントといえます。(写真右:ミズナラ


しばらく歩くと面白い紅葉に出会いました。

赤と黄色を共有している紅葉です。

ハウチワカエデです。(写真右下)


天狗のうちわに似た葉は満月に映え、日本情緒たっぷりのカエデです。

ハウチワカエデ.jpg名メイゲツカエデといわれています

ハウチワカエデは通常真っ赤に染まりますが、なぜ一部だけしか赤くなってないのでしょう。

同行した専門家曰く

土壌や風通しなどの植生条件による違いや、樹木の個体差などの違いが影響しているとのこと、

人間の個性と同じようなものと考えればよいということでした。

「寒いときに鼻の頭が赤くなるようなものですね」

回転のよい参加者から、わかりやすい喩えが入りました。 一同笑いながら妙に納得です。


わずか2時間ちょっとの森の散策でした。

春の若葉、夏の緑、秋の紅葉、そして冬の銀世界・・・

秋の森に入りますと四季がはっきりしている北国を一番強く実感します。

札幌の初雪の平年は10月27日、あと1週間もすれば定山渓にも初雪がちらつきます。

札幌市:望田武司

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