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大学全入時代のなかで
「息子・娘を入れたい大学」
「就職に強い大学ランキング」
「東大合格者が語るブランド校に入るためのヒケツ」
「本当に強い大学」
一瞬何かと思うかもしれないが、
実はこれ、ここ数ヶ月で私が通勤途中に目にした
週刊誌の中吊り広告の見出しのほんの一部。
このような教育ネタは枚挙にいとまがないが、少し聞いただけでも、
「見たことある」とうなずく方も多いのではないだろうか?
教育に対する関心の高さは今に始まったことではないが、
この出版不況のただ中においての教育関連雑誌の創刊ラッシュや、
一般週刊誌で取り扱う教育ネタの多さを見ると、
最近ますますその関心が高まっているのではないかと感じる。
その理由を探るうえで、欠かせないキーワードがある。
それは、「大学全入時代」。
2007年度、つまり今年の大学入試から、ついに大学・短大の進学希望者数と合格定員の総数が同じになった。
つまり、選ばなければ誰でも「大学」に入れる時代が来たのである。
ただし、これは計算上のお話で、当然ながら誰でも「希望の」大学には入れない。
とは言っても、「大学卒」という肩書きは希望すれば誰でも手に入る時代になった今、「大学」の意味が今真剣に問われていると言えるだろう。
それと関連して面白い現象がある。
生徒の数が減り、大学全入時代に突入したにもかかわらず、
いや、だからこそと言うべきか、この2、3年ほどの間に、
新しい学部・学科を設置する大学が急激に増えているのだ。
その背景には、2003年度に大学・学部・学科などの設置に関する認可の手続きが改正されたことが大きい。
一定条件を満たせば、認可を要せず文部科学省に届け出るだけで、
新しい学部・学科がつくれるようになったのだ。
文部科学省のホームページに行くと、来年度新設される学部・学科などを見ることができるのだが、「看護・医療」「こども」「生命科学」「語学」などの言葉が続き、どれも時代の変化やニーズを反映しているのがよくわかる。
それらの学部・学科で学ぶことで、現代社会が直面する問題の解決に取り組む人材が養成されるという大きな意義を実感する一方で、
大学志願者数が年々減少していくなかで、
大量の新しい学部が誕生する現象にはどこか違和感を感じるのも確か。
というのも、これらのなかには、新しい学部を設置したはいいものの、教育体制や設備が整わず新設を断念したり、延期したりする大学が毎年ある。
また、大学案内やホームページをいくらじっくり読んでも、
「文化の多様性を理解」「世界に発信」など、惹きのある単語がちりばめられているだけで、肝心の、どんなカリキュラムで何を学び、どういう力がつくのかがさっぱりわからないところや、ライバル校に負けじと急いでつくったのではないかと勘ぐりたくなるようなところも現実に少なからずあるからだ。
大学といえども、時代の動きを敏感にとらえ、すばやく行動に移す力、生き残りをかけた経営センスや戦略はもちろん求められるとは思うが、大学の価値は、受験者数や入学者数や話題性だけではもちろんない。
そこで学ぶ学生の4年間はもちろん、10年後、20年後、もっと先の未来まで意識した教育体制を整えていていくことが何より大切なのではないだろうか?
そのうえで初めて大学独自の個性や特色が生きてくるのだと思う。
もちろんいろいろ課題は山積み。
まずは何よりも、進路を決める高校生自身が、
しっかりと進路を選ぶ力を身につけてほしいなーと
中吊り広告を見ながらそっとつぶやく。
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