日本Webリポート&ニュース

2007-08-08 (水)

ピアノフォルテだより⑤

みなさまお元気でいらっしゃいますか?
テレビ放映のお知らせです。
本日10:55~11:50、NHK BSー2、
4月18日王子ホールで演奏した鈴木秀美さんとのデュオコンサートの
模様が放送されます。
前回のハイビジョン放送のときに見逃した方、どうぞお見逃し無く。

また、秋には2つの室内楽の公演とともに、久しぶりのソロリサイタル
を開きます。このメールの下のほうでご案内しておりますので、
ごらんください。

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前回に引き続き、フォルテピアノにまつわる「苦労話」です。

ふつうの(!)ピアノしか知らなかった頃は、楽器と自分との
接点が今ほど近しく感じられず、弦楽器奏者や管楽器奏者のように
自分の体と距離が近い楽器にあこがれたものでした。ピアノ奏者に
とっての、直接に触れる場所は鍵盤、ということになりますが、
ヴァイオリン奏者のように弦を弓でこすって(触れて)いるわけでも、
フルート奏者のように楽器に直接息を吹き込んでいるわけでも
ありません。楽器の音が鳴る場所(ピアノで言えば弦)に直接
触れて演奏する楽器に憧れました。
楽器を持ち運ぶということにも大いに憧れ、フルートやヴァイオリン
を習った過去もあります(笑)。

また、音を出す前には必ず調弦を行う弦楽器奏者と違い、ほとんどの
ピアニストは調律の作業をプロの調律師さんに任せるということ
もあり、ピアニストとピアノという関係は、器楽奏者の中でも
特殊な立場だと言えると思います。

そう、今日はフォルテピアノの調律のお話です。
一番多く聞かれるのが、どのくらいの頻度で調律しなければならない
のか、という質問です。
答えは、音が合わなくなったと気づいたときに自分でします、です。
毎分でも毎日でも毎週でも(笑)。
温度と湿度によって、音の調子のずれ具合は変わりますから、
自分で、気になるな、と思ったときに合わせるのです。
モンダイはコンサートのときの調律。
コンサートの最中に激しく音がずれてしまうと困りますね。やはり、
プログラムの流れというものがありますから、よほどのことがない限り、
休憩まで我慢します。
コンサートの調律は、なるべくしたくないことのひとつです。
時間に追われて調律する、という心理状況を演奏前に作りたくない
というのが一番の理由ですが、回しにくいチューニングハンマー(弦の
巻いてあるピンを回す、調律用のハンマー)を回す作業は、力仕事
なので、演奏前にすると、手が震えてしまうこともあります。

調律の持ちにとって最強の敵は 風。
エアコンの風、自然の風、なんでもNGです。
天井の高い石造りの教会でのコンサートなどで良く起こるのが、
寒くもなく暑くもなく温度湿度は一定なのに、音を合わせるはしから
ずれていく、という現象。これは、部屋の容積が大きいので、空気が
廻ることによる風の影響だということ。
アムステルダムの北教会で弾いたときも、最初の曲が終わるころには、
せっかくの美しい調律がずれずれにずれて、台無しになってしまった
という経験をしました。
北教会はかなり巨大な教会です。残響があり過ぎて、実はフォルテピアノ
には向かないのですが、キャパは2000人くらいでしょうか。

2002年の春に初めてバルセロナの音楽祭で弾いたときは、
野外ステージでした。ヨーロッパの中でも私がもっとも好きな
場所のひとつである、石畳のゴシック地区の、複数の広場が演奏会場でした。
演奏中に楽譜のページが風でどんどんめくれてしまうような風が吹く広場で、
ベートーヴェンなどを演奏しましたが、やはり調律は長持ちしませんでした。
石畳の道・石造りの建物に囲まれた広場でしたので、大きさがあっても
ある程度良く響いて風さえなければとても気持ちがよかったのですが・・・。
噴水のある広場で演奏したときは、曲が進むにつれてお客様が静かになって
いったので、曲の終わりのほうではそれまで気づかなかった噴水の音が、
うるさく感じるようになったことをよく覚えています。

こういった苦労は同時に、楽しく、いとおしいものであったりもするの
です(笑)。楽器との距離が縮まったことで、音楽することのすばらしさや、
自分の演奏する楽器を愛おしく思う気持ちが大きくなったことに、日々、
感謝しています。

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ソロリサイタルシリーズのご案内
——————————————————-
【ウィーンのピアノに魅せられた作曲家たち Vol.1】

と題したソロリサイタルシリーズの第一回を、
10月17日(水)に、
めぐろパーシモンホール小ホールで行います。
このリサイタルは、日本演奏連盟/山田康子奨励・助成コンサート
に選ばれました。

ピアノという楽器の変動と変革の時代・・・そこから生まれた音楽
ベートーヴェンからチェルニーへと受け継がれたヴィルトゥオジテ(技)
と題した今回のプログラムは、

Carl Czerny (1791-1857) : Etude Melodieuse Op.795-3 
チェルニー : 旋律的エチュード 作品795-3 

J.S. Bach / C Czerny: Fuga I & IX von Die Kunst Der Fuge 
バッハ・チェルニー編:フーガの技法より 第一フーガ、第九フーガ

Beethoven (1770-1829) : Sonate fuer Klavier Nr.31 op.110
ベートーヴェン : ソナタ第31番 変イ長調 作品110

Schubert (1797- 1828) : Sonate fuer Klavier D845
シューベルト : ソナタ イ短調 D845

です。


ウィーン式アクションのフォルテピアノ(ローゼンベルガー ウィーン 182
5年製)を使用し、その時代に書かれた有名無名の名曲を紹介するリサイタルシ
リーズの第一回目。没後150年の作曲家、チェルニーの練習曲作品795-3
は、練習曲のイメージとは趣を異にするノクターンのような叙情性を、また、師
であったベートーヴェンから受け継がれたバロック音楽への尊敬と興味を示す、
チェルニー編バッハ:フーガの技法から、ベートーヴェンOp.110の終楽章のフー
ガへの流れをお聞きください。
後半のシューベルトはまさにローゼンベルガーが作られた1825年に書かれた
曲。ウィーンっ子シューベルトの音楽が、ウィーンアクションの楽器から立ち昇
る醍醐味をお伝えしたい。

チケット発売日 8月17日
[チケット取り扱い]
ローソンチケット:0570-000-407
東京文化会館チケットサービス:03-5815-5452
ピアノ・エ・フォルテ:03-5284-8538
office@chiehirai.com

HP上で追って詳細をお知らせいたします。



次回リサイタル予告
——————————————————-
【ウィーンのピアノに魅せられた作曲家たち Vol.2】

変容の愉悦 Metamorphosis
2008年 5月14日(水) 横浜みなとみらい小ホール

Beethoven (1770-1827):6 Variationen uber ein eigenes Thema op.34
(1802)
ベートーヴェン : 創作主題による6つの変奏曲 Op.34

John Field(1782-1837):Air Russe Varie (1820)
フィールド : ロシアのうたによる変奏曲

Chopin (1810-49):Variations brillantes Op.12
ショパン : 華麗なる変奏曲 作品12 (1833)

Beethoven (1770-1827):15 Variationen mit einer Fuge uber ein Thema aus 
dem Ballett 
‘Die Geschopfe des Prometheus’(Eroica-Variationen) op.35 (1802)
ベートーヴェン : 「プロメテウスの創造物」の主題による15の変奏曲と
フーガ 変ホ長調(エロイカ変奏曲) 

——————————————————-
【ウィーンのピアノに魅せられた作曲家たち Vol.3】

舞踊への勧誘 Aufforderung zum Tanz
日時、会場未定です。

Chopin:Bolero Op19 
ショパン : ボレロ 作品19 (1833)

Weber:Grande Polonaise Op.21 
ウェーバー : 大ポロネーズ 作品21 (1808)

Chopin:Rondeau a la Mazur Op.5 
ショパン :マズルカ風ロンド 作品5 (1826)


おもしろい本に出会って夜のふけるのも気づかずに読破してしまうときの
ような、そんな世界に皆様を引きずり込めれば、幸せでございます。

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今年中の日本での公演予定

9月23日(日)フィリアホール【チェロとフォルテピアノの叙情】
10月17日(水)めぐろパーシモンホール 小ホール
【平井千絵 フォルテピアノ・リサイタル Vol.1】
10月29日(月)王子ホール 【鈴木秀美のガット・サロン Vol.2】
12月9日(日)フィリアホール【ピアノ・トリオの愉悦】

チケットは、それぞれのチケットセンターでお求めいただけるほかに、
office@chiehirai.com でも 多少ではございますがご用意できます。
ご都合が宜しければ、お早めにお申し込みくださいませ。

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平井千絵 Official Web Site http://www.chiehirai.com
ブログ「オランダ フォルテピアノだより」
http://chiehirai.blog.drecom.jp/

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