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2010-05-24 (月)

借金弁護士が増えることは怖くないか?(2)~司法修習生の給費制廃止問題 [弁護士業について] [編集]

  「法律家、裕福な人しか…」司法修習生の給与廃止に異議
http://www.asahi.com/national/update/0519/TKY201005190199.html

 ちょうど、このニュースです。

 この問題、私は、宇都宮会長を応援します。

 
 さて、司法修習生の給料の問題ですが、
 前回記事で書いたとおり、

司法試験合格者の急激な増大

司法予算

の問題が、そのキモです。

 まず、「司法改革」が本格的に動き出した平成12年以降を考えても、


司法予算は、ずっと、国家予算の0.4%くらいの水準であり、増えていない(増える気配もない)

ということが重要です。

 ところが、

司法試験合格者の数は、年間で、倍以上に増えた

のです。こうなってくると、予算の都合上は、

一人当たりの司法修習生の育成に、今まで通りのコストをかけられない

ことは理屈から言って当然になってきます。


 さて、合格者数が増えたからといって、今の合格者の元々持っている能力が昔の合格者と比べて低いなどとは限らないし、それは人それぞれだとは思いますが、しかし、

合格者数が増えること = 試験合格の基準点は下がること

は事実です。
 だとすれば、少なくとも、合格時点での、試験科目(法律科目)についての理解度については、人によっては、昔の試験よりは、低い状態でも合格している場合があります。

 なので、本当は、

合格者が増えたら、合格後の教育が昔よりも充実していなければならない

はずなのですが、予算の都合上は、逆になり、

一人当たりの司法修習生の育成に、今まで通りのコストをかけられない

となるわけです。


 だから、今の、これからの司法試験合格者の方が大変です。
 やはり、私たちの後輩には、

せめて修習期間中は、お金のことを気にせず、必要な勉強に集中できる環境

を残してあげたい、と思います。


 そして、国全体、国民の皆さんの問題としては、

金をかけずに安上がりに、法律家を増やそうとしたら、危険。 借金を抱えた法律家を大量に生む。新しい法律家はじっくり勉強する機会も得られない人が増える。 金儲け主義の弁護士が増える恐れもある(要するにアメリカっぽくなる)。

ということを念頭に置いて考える必要があります。

 なので、

もし、本当に、今よりもたくさんの法律家を育成する必要があるなら、丁寧に育成するためには、それ相応の国費がかかる。 法曹人口が急激に増えているのにあわせて、司法予算を大幅に増額しなければならない。 つまり、そのための税金を大量に投入しなければならない。

のです。

 ただし、

弁護士の数が足りているか

は、国民の皆さんにとってはそもそもピンと来ない問題。

 ただ、今は、昔と違って、各法律事務所のHPもあり、弁護士会での弁護士紹介等があり、「弁護士に依頼したいけれど、弁護士がいない」という状態は、少なくとも都市部においては殆どなくなったでしょう。

 その意味では、今までの、合格者増が一定の成果をあげて、国民の皆さんから見れば、意外に(!?)弁護士が身近にいる状態になっている、ともいえるのではないか、と思います。

 過疎地の問題はまだ残りますが、これは、過疎地の医者不足と同じで、「数を増やしさえすれば…」という問題ではなく(数としては大した人数は元々必要ありません)、過疎地で開業するハンディを克服する公的な仕組みを整備する必要がある、という問題です。

 これは、弁護士である私の視点ですから、一般市民の方の目線と同じでないかも知れませんが、是非、

「最近で、弁護士を依頼しようとしたが、弁護士が不足しているために、弁護士が見つからなかったり、困ったりしたケースがあるか。」

あるいは

もしも、弁護士を依頼したい場合、インターネットや弁護士会や法テラスに問い合せても、相談する弁護士がみつからないだろうか?

というくらい身近にひきつけて考えていただければと思います。

 そして、私は、

年間司法試験合格者が2000人にもなっているのは多すぎる。年間1000人くらいにしておいたほうがよい。

と考えています(元・行列の出来る法律相談所の、現自民党国会議員である丸山弁護士が加入しているグループも、同様の意見を発表されていました)。
 
 実は、この「年間1000人に」としても、弁護士の数は増えていきます(元々昔の合格者が500人だったので、年間1000人でも、これから数十年にわたって、どんどん、若手弁護士の数は増えていきます)。

 だから、私は、

弁護士の数を減らせ

などと主張するわけでないし、ただ、

弁護士を増やすスピードが今は急激すぎるので、それを、せめて、丁寧に育成できる範囲のスピードにしよう

と主張するのです。

 そして、その

丁寧に

と言う部分が、

司法修習生というのは、もう20代後半~30代になっている人であるし、法律家には特別な重責があるのだから、給料を出して、修習に集中してトレーニングしてもらおう

ということなのです。

 また、宇都宮会長が言うように、

司法修習生には給料も出るから、たとえ、貧乏人でも、志があれば、是非法律家になって下さい

という制度でなければならない、と思うのです。


 「事業仕分け」がなされたりする中、国費を司法修習生に出し続ける、という主張は、この時代の空気としては、「流れに合わない」のかも知れませんが、しかし、私は、

司法修習生に給料を出し続けてもらうことは、国民にメリットがある(但し、司法予算が拡大できないこととの関係上も、ある程度は少数精鋭にして)

と確信しています.

神戸:村上英樹 弁護士村上英樹のブログ

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