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2010-05-23 (日)

借金弁護士が増えることは怖くないか?(1)~司法修習生の給費制廃止問題 [弁護士業について] [編集]

 ここで言う「借金弁護士」とは、今、たくさん流れているCMの「あなたの借金問題、相談して下さい。」の弁護士のことではありません。
 自分自身が借金を抱えた弁護士のことです。

 来年度から、司法修習生(司法試験に合格した人で、裁判官、検察官、弁護士の卵)の給料が出なくなります。
 これは既に何年も前になされた裁判所法の改正によりそうなるのですが、日弁連では、この制度変更に反対し、司法修習生に給料を出す制度を維持するように運動しています。

 給料が出なくなりますが、司法修習生には「修習専念義務」というのがありバイト等は禁止されています。

 つまり、


働けない  +  給料も出ない


ということになります。

 となると、


どうやって生活するか?


という話になりますが、それは、


貸与制

と言い、つまり、国が生活に必要なお金を貸し付ける、という制度になるということなのです。貸付ですから、借金です。


 司法修習生は、仕事をしているわけはなく、勉強をしている身分なのだから、給料を国民の税金から支払うのはおかしい、という考え方はあり得ます。

 しかし、司法修習生は、「修習専念義務」を課され、稼ぐ術を閉ざされています。
 それは、法律家は特別に重い責任を負うことになるので、司法修習は「専念」してやってもらわなければならないという考えに根ざしています。
 なので、単なる「学生」とはわけが違うのです。だから、今までは給料が出ていました。


 さて、司法修習生の給料が出なくなることは困ったことを引き起こします。


1 新人弁護士は、借金を抱えた状態で、デビューする。

  この状態は、国民にとって危険ではありませんか?
  借金を抱えていれば、「どうやって早く借金を返済するか?」が常に頭にこびりついて離れないでしょう。
  借金のことが頭にこびりついて離れない弁護士に、自分の重大な法律問題や財産を任せるということは、不安なことではありませんか?


2 貧乏人が、苦学して、法律家になることは難しくなる。 

 最近、日本弁護士連合会(日弁連)の会長になった宇都宮健児先生も、若いとき、お金がなかったので、一刻も早く社会に出て、給料をもらって経済的に自立しなければならない、という一念から、猛勉強し、短期で司法試験に合格したそうです。

  私は、家が特に貧乏だったということはありませんが、青春期特有の親とのギクシャク感もあり、やはり、宇都宮会長と同じで、「一刻も早く社会に出て、給料をもらって経済的に自立しなければならない」と考えていました。
 
  もちろん試験に首尾良く合格すれば、という条件付ですが、ストレートであれば、22歳から司法修習生として給料を得て自活できる道は開かれていました。

  しかし、今はそんなことはできません。
  大学4年を終わっても、その後さらに、

最低2年(最短で24歳まで)   法科大学院   さらに学費がかかる。 収入は普通なし。

その後1年(最短で25歳まで)  司法修習    来年から給費制廃止。収入なし。借金。

ということになります。

  最短でも25歳まで、自分で稼げないとなると…

  今の制度なら、私は弁護士にはならなかったでしょう。
  25歳近くまで、親にあたまを下げ続けることが出来なかっただろうからです。
  私の場合、ほとんど「意地」としての問題ですが、やはり、実際問題として、経済的におよそそういうこと自体ができない、という状況の人は多いでしょう。

  さらに言えば、今でも司法試験合格者というのは、30歳前後であることが多いのですから、現実には、25歳どころか、20歳代の大半は「ちゃんとした稼ぎがない」状態になります。
  
  こんな風に、司法試験合格までの期間は長く、コストもかかります。
  このような負担に耐えられる家庭からしか、法律家は生まれない。

  貧乏人が頑張ろうとしても、法律家にはなるのは難しい。
  仮に、頑張りきって法律家になったとして、なったときには、ロースクールの学費のための借金や、司法修習中の「貸与」の借金を背負っている(上記1の問題)。
  それでよいでしょうか??

 

 国民の皆さんが、自分に何かトラブル等があったときに頼る存在として、
弁護士がどういう存在であって欲しいか

として考えて頂く問題だろうとおもいます。

 

 実は、この問題は掘り下げると、根っこは、


司法にかける国家予算

司法試験合格者の急激な増大


の問題に行き当たります。

 これについて書き出すと、今日の記事と同じくらいの分量が必要なので、次回に。

神戸:村上英樹 弁護士村上英樹のブログ

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この記事に投稿されたコメント

 ずいぶんずうずうしい話です。

 医学部を含めた一般の学校の生徒学生は勉学のために入学金・授業料を払う必要がありますが、司法研修所はそれらは一切なし。しかも普通の学校では奨学金もほとんどが利子つきで、貸与金額は数万円程度。

 収集期間のことを書いているので、このコメントもそれと同じような条件の医学部のことを書きましょう。

 医学部は学部4年に専門教育機関が2年ありますから合計6年、そして国家試験に受かってもそれでは使い物にならないということで無給かきわめて低い給料でのインターンのような期間が何年かあります。

 そして、大学の6年間入学金や授業料など、特に私立医大では司法修習に要するものとは比較にならないほどの莫大な金額になりますが、それはすべて自己負担、奨学金はあっても利子付きで最高数万円のわずかなものです。

 ところが司法修習生は入学金・授業料ともに無料。そして奨学金はといえば無利子で月に20万円以上。

 医師は人間が生きていく上に不可欠の職業ですが、弁護士などの法曹分野の仕事は生活にとって不可欠のものではぜんぜんありません。

 人間に欠くことができない医師の教育に要する莫大な金がすべて自己負担で、奨学金のような国家の補助も司法修習のそれと比べて半分以下。

 しかも医師はよほど特別で辺鄙な場所以外にはまず間違いなく開業していますが、弁護士はどうです。東京や大阪などの客が多くて儲かりそうな場所には客の奪い合いをするほど多数が開業しているくせに、無弁護士県とか、きわめて少数のものしかいない県がかなりの数あるそうです。

 弁護士は社会公益のために存在するという耳障りのよい言葉を、それも弁護士自身からよく聞かされますが、無弁護士県の話や大都会集中などのことを聞くといかにもうそだろう、といいたくなりますし、うそであることは、ごく一部の弁護士を除くほとんどの弁護士自身がようく承知しているでしょう。(かの人権擁護を旗印としている社民党の党首福島弁護士の年収がうん億円とか、議員の数が減少して政党助成金などのあぶく銭が入ってこなくなったので、多数の党職員を「党職員には労働基準法は適用されない」などというめちゃめちゃな理屈で首を切ったそうですが、人権擁護が旗印の福島弁護士は知らぬ顔だったとか)

 そういうことで、司法修習生に対する給費製には絶対反対です。

 給費制度を望むなら、欧米のようにほとんどすべての教育の無料化を実現してからにすべきでしょう。何しろOECD国の中で教育費の公的負担が最低の国が日本なのですから、私利ばかりを追求しているとしか思えない弁護士養成制のために、給費制度を復活するなどとんでもないことであります。

 それに弁護士自身が書いていることですが、法科大学院の学費が高いのは教授陣に弁護士が多くて給与が馬鹿高いせいであるとのこと。かんぐれば、そういうやり方で稼いでいる弁護士センセーの給料を出すために司法修習生の給費制度を復活しろと弁護士会は運動しているといえないことはないでしょう。

9月 17, 2010 1:05 pm : 井上信三

> 医学部を含めた一般の学校の生徒学生は勉学のために入学金・授業料を払う必要があ
> りますが、司法研修所はそれらは一切なし。しかも普通の学校では奨学金もほとんどが
> 利子つきで、貸与金額は数万円程度。

 奨学金の貸与返済は当然、法科大学院にもあります。試験合格後の修習中のことですの
で、試験合格前の学校の奨学金を比較に出すのは見当違いでしょう。

> 医学部は学部4年に専門教育機関が2年ありますから合計6年、そして国家試験に受かっ
> てもそれでは使い物にならないということで無給かきわめて低い給料でのインターンの
> ような期間が何年かあります。
> そして、大学の6年間入学金や授業料など、特に私立医大では司法修習に要するものと
> は比較にならないほどの莫大な金額になりますが、それはすべて自己負担、奨学金はあ
> っても利子付きで最高数万円のわずかなものです。
>  ところが司法修習生は入学金・授業料ともに無料。そして奨学金はといえば無利子で
> 月に20万円以上。

大学学部4年を出た後に法科大学院で2~3年の専門教育機関があります。医師会の要
請で今は医師試験に受かった後に、「司法修習制度を見習って」研修医にもちゃんと給与
が出るようになりました。ご存知ないのでしょうか?

 また、繰り返しになりますが、司法修習生の給費は、上記のように「試験合格後」の話
をしております。司法研修所の入所と医学部の入学を同じにするのは間違いです。医学部
入学と比較すべきは法科大学院です。なぜ医学部と司法研修所を一緒にするのでしょう?
 司法修習生と比較すべきは、医師国家試験合格後の研修医であって、それは上記のよう
に、給費が出るようになりました。

 

> 医師は人間が生きていく上に不可欠の職業ですが、弁護士などの法曹分野の仕事は生
>活にとって不可欠のものではぜんぜんありません。
> 人間に欠くことができない医師の教育に要する莫大な金がすべて自己負担で、奨学金
> のような国家の補助も司法修習のそれと比べて半分以下。

 医師は人にとって生物的に必要ですが、弁護士は社会的に必要です。あなたが弁護士に
関わることがなかったからといって、「不可欠でない」と言うのは、自分勝手な思い込み
です。生涯健康で病気を一切しない人であれば、同じように「医師なんか要らない」とい
うでしょうね。

> しかも医師はよほど特別で辺鄙な場所以外にはまず間違いなく開業していますが、弁
> 護士はどうです。東京や大阪などの客が多くて儲かりそうな場所には客の奪い合いをす
> るほど多数が開業しているくせに、無弁護士県とか、きわめて少数のものしかいない県
> がかなりの数あるそうです。

 書きぶりからすると、ただのうわさ話を鵜呑みにしているような印象を受けますが、無
弁護士県とはどこでしょう? 大都市が弁護士飽和にあるのは事実ですが、それは医者も
同じでしょう。むしろ無弁護士県などというものがどこに存在するのか提示してほしいも
のです。うわさや聞きかじっただけの情報で、同じ大都市飽和ののある医師には触れずに
飽和の弁護士を比較して批判するのは筋が通っているとはいえません。

> 弁護士は社会公益のために存在するという耳障りのよい言葉を、それも弁護士自身か
> らよく聞かされますが、無弁護士県の話や大都会集中などのことを聞くといかにもうそ
> だろう、といいたくなりますし、うそであることは、ごく一部の弁護士を除くほとんど
> の弁護士自身がようく承知しているでしょう。(かの人権擁護を旗印としている社民党
> の党首福島弁護士の年収がうん億円とか、議員の数が減少して政党助成金などのあぶく
> 銭が入ってこなくなったので、多数の党職員を「党職員には労働基準法は適用されない
> 」などというめちゃめちゃな理屈で首を切ったそうですが、人権擁護が旗印の福島弁護
> 士は知らぬ顔だったとか)

 先のように「弁護士は不要」といえる程度にしか弁護士を知らないあなたが、なぜ、弁
護士の社会公益性はうそだと「ほとんどの弁護士が承知している」などといえるのでしょ
う? どのくらいの弁護士と話をしたのでしょうか。テレビで不祥事が取り上げられると
「それがすべて」と思い込む方でしょうか。
 また、福島瑞穂社民党党首の話を出していますが、政治家の倫理の問題と一般の弁護士
を一緒にするのも話のすり替えです。何か不祥事を起こした政治家が、元サラリーマンで
あれば、「世の中のサラリーマンはほとんどが倫理観がない」と言い切るのでしょうか?
 政治家の倫理違反を弁護士だったという理由で弁護士の倫理違反にするのは、話が違います。

> 給費制度を望むなら、欧米のようにほとんどすべての教育の無料化を実現してからに
> すべきでしょう。何しろOECD国の中で教育費の公的負担が最低の国が日本なのですから、
> 私利ばかりを追求しているとしか思えない弁護士養成制のために、給費制度を復活す
> るなどとんでもないことであります。

 それであれば、研修医の給費も反対すべきでしょう。医師の不祥事も批判されて久し
いと思うのですが、「教育の無料化を優先すべき」の対象が司法修習生のみというのも、
ずいぶんと論理の飛躍ですね。

> それに弁護士自身が書いていることですが、法科大学院の学費が高いのは教授陣に弁
> 護士が多くて給与が馬鹿高いせいであるとのこと。かんぐれば、そういうやり方で稼い
> でいる弁護士センセーの給料を出すために司法修習生の給費制度を復活しろと弁護士会
> は運動しているといえないことはないでしょう。

 今度の比較対象は法科大学院ですか? 上では医学部と司法研修所を比較していたのに、
いきなり法科大学院に話が移りましたね? 法科大学院の学費が高いのは、もちろん問題
ですが、そこは医学部と同じで「専門教育機関」の授業料や奨学金の問題です。話が違い
ます。
 医学部の授業料が高いのと無料の司法研修所を比較しておいて、今度は法科大学院の授
業料の高さを給費制反対の根拠にするのですか? ずいぶんとご都合主義の批判です。弁
護士教授陣の給料を出すために、なぜ給費制維持を弁護士が訴えなければならないのです
か? 給費制が維持されても、別に法科大学院の授業料は下がりませんし、現在の弁護士
の実入りが増えるわけでもありません。話のつながらないことを、堂々と言い切る思い込
みの強さには、ある種の感動すら覚えますね。

 給費制維持に反対をする方は、このコメントの方のように、非常に偏った情報と常識で
「弁護士は悪いことして稼いでいる」という思い込みを前提としています。その上で、司
法修習がどのようなものか、比較に出す研修医が今どういう制度なのか、必要な情報をぜ
んぜん持っていません。
 結局のところ、司法修習生給費制維持に必要なのは、こうした偏った情報や思い込みを
持った人を地道に「正しい知識に基づいて」判断するように説得するしかないようです。
 しかし、そういう方に限って、自身の偏見をすべてと信じて疑わないのが困りものです。

12月 6, 2010 6:57 pm : 法科大学院生

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