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北京あんなことやらこんなことやら(51)
~厳しさ増す大学生の就職戦線①~
1月3日の大雪(北京市朝陽区)
北京の今年の冬は、兎に角寒い。新年早々の1月2日と3日に連続して雪が降り、その後、日中の最高気温が氷点下の日が多いため、この原稿を書いている17日になっても、まだ雪が残っている。また北京市気象台によると、6日未明、北京市内の最低気温が氷点下16・7度となり、1月上旬としては39年ぶりの寒さを記録。郊外では氷点下26度前後にまで下がったところもあったという。
大学院統一試験(北京市内の大学)
厳しい寒さの中、就職戦線は過熱している。中国では1月9日、10日の二日間、大学院修士課程の統一入学試験が実施された。全国で募集定員46万5000人に対し受験者は140万人。受験者数は去年よりも13%も増えて、20001年以降で最高に。今年の試験の特徴は、学術型の院生を減らして就職に有利な応用型の院生募集を増やしたことだ。また去年の11月末に行なわれた国家公務員試験も、1万4000人ほどの募集定員に対し104万人が受験。競争率は70倍以上と、一段と高くなった。
こうした競争の激化は、金融危機によって大学生の就職戦線が一段と厳しさを増したことが背景にある。経済成長が続く中国で何故、まだ金の卵とも言える大学生の就職戦線が厳しいのかと不思議に思われる方がいらっしゃると思うが、日本と違い企業側が新卒者よりも仕事の経験のある即戦力を持つ人材を求める傾向が強いことが大きな理由に挙げられる。詳しくは当ブログの44回目「就職難に直面する中国の大学4年生」を見ていただきたい。
厳しさを増した就職戦線の影響を受け、今年の4年生の授業への出席率は、大変悪かった。去年の9月から始まった1学期。10月末には早くも、企業への実習、というよりは正式に契約を交わして働き始めるので授業には出られないという学生が現れた。11月から出席率は5割を割り、20人中出席者が4~5人という日も出てきた。私の大学では、もともと4年生の授業は1学期だけで、2学期は卒業論文と企業への実習に充てるというシステムになっているのだが、今年の4年生はこんな有様であった。
実習や病気で休む時には、携帯のショートメッセージで連絡をするようにと口うるさく言っていたのだが、日本人ほど几帳面ではない中国人学生からは余り連絡は来ず、イライラさせられた半年であった。そこで就職難に関する作文を書かせたのだが、作文の内容からは厳しい就職戦線の実態が浮かび上がってきた。
ある学生は、「1日に5社の面接を受けたことがある。朝6時に出て夜11時半に帰ってきたが、移動のためにバスや地下鉄に乗った時間は5時間以上にものぼった」と書いており、また別の学生は「IT関係の大手企業で1ヵ月半も実習をしたが、自分も含めて10人の大学生は一人も正社員にはなれなかった。会社は安い労働力が欲しいだけだということが分かった」と書いている。さらに「卒業したら家を持ちたいと思っている大学生が多いのに、就職してもらえる給料は1000元から2000元(日本円で1万3000円から2万6000円)程度で、やむなく大学院進学や留学をしようと考える学生もいる」と書いた学生も。
中国政府は、こうした大学生の就職難を解決するため、先に述べた就職に有利な応用型の大学院生の募集枠を増やしたり、起業に対する支援策を導入したり、都市の郊外や地方の自治体の役人になることを支援する「村官制度」の促進などを図っている。こうした対策に対して学生たちは、強い期待を寄せるとともに、「即戦力を求めるという企業の方針を変えさせて欲しい」「大学内でも集団的に実習する機会を作って欲しい」といった更なる対策を望む一方で、「大学院生の募集枠を増やしても、今度は院生が卒業する時に再び就職難に直面するだけだ」と疑問を呈する声も。
また大学生自身の考え方を反省する意見もある。「高望みをする学生が多いために、大手企業や公務員試験の競争率が激化しているが、それぞれが自分の実力を把握した上で行動すれば、就職状況も良くなるのではないか」、「北京をはじめ大都市こそ給料もいいし、生活もいいと考えている学生が多いが、地方や中小企業の方が自分の才能を発揮出来るのではかいかと思うようになった」、「何の準備もせずに大学院の試験を受ける学生がいるが、まだ働きたくないからだと思う。中国の大学生は何でも親の援助を受けて生活しているので、責任感が足りないのではないか。」等々。
就職難のテーマの2回目は、ネット上で話題になった親が出稼ぎ農民である大学生の苦悩、結婚して専業主婦になりたいという女子学生の話を紹介したい。
北京:中村 治
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