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2009-04-02 (木)

仏様紳士録ー古寺巡礼ガイドブックー(12)

明王

 明王は密教(みっきょう)(真言宗および天台宗=口では言い表せない実践の教義があるという意。その他の教えは顕教(けんぎょう)という)において如来が化身したものと説かれ、衆生の煩悩を打破するために忿怒の姿をしていて、奇怪な容貌は宛(さなが)らウルトラマンに登場する宇宙怪獣のようです。

 1 不動明王(ふどうみょうおう)(大日大聖(だいにちだいしょう)不動明王)

  大日如来の化身といわれ、五大明王の中央尊になっています。

  青黒い忿怒の面相は、片方の眼は上を睨(にら)み、もう一方の眼は下を睨む、いわゆる不動の八方睨みをして、さらに2本の牙は上唇と下唇を互いに噛むという物凄いものです。

 髪は一つに編んで肩に垂らし、右手には降魔折伏(ごうましゃくぶく)の利剣を、左手には極悪無道なものを緊縛(きんばく)する(不動の金縛り)羂策を持って、一切の煩悩を焼き尽くす大火焔(だいかえん)を背に岩上に立って(あるいは座して)います。

 または不動様には八人の童子(八大童子)が眷属として付き従い、なかでも矜羯羅童子(こんがらどうじ)と制多迦童子(せいたかどうじ)は不動三尊を構成します。

不動明王 大覚寺 鎌倉時代 重文 

不動明王.jpg

2 降三世明王(ごうざんせみょうおう)

  東方禅海浄土(ぜんかいじょうど)の教主である阿如来(あしゅくにょらい)(過去仏)の化身といわれ、五大明王のうち東方守護の一尊です。四面(あるいは三面)八臂(はっぴ)で、黒い面相に三眼という見るも恐ろしい姿で、うち一対の腕を胸前で交叉して小指を絡(から)ませ、その他の手には貧瞋癡(どんじんち)(貧(むさぼ)る・瞋(いか)る・癡(おろ)か)の三毒を断破する弓・矢・太刀・独鈷等の武器を持っています。

 左足で思いっきり大自在欲王(だいじざいよくおう)を、そして右足でその妃(きさき)の鳥魔后(うまご)を軽く踏んで岩上に立っています。 

降三世明王 大覚寺 鎌倉時代 重文

 降三世明王.jpg

3 大威徳明王(だいいとくみょうおう)

  阿弥陀如来の化身といわれ、五大名王のうち西方守護の一尊です。

  三面六臂で一対の腕は胸前で握り合わせ、両方の人差し指を立てて、その先端をくっつける折伏の印を結び、その手には剣・鉾(ほこ)・法輪・杖などを持って大火焔裏に岩上に立っています。また文殊菩薩の化身という六面六臂六足で、水牛に跨った姿もあって、こちらは六面尊(ろくめんそん)あるいは六足明王(ろくそくみょうおう)とも呼ばれます。

 大威徳明王(六足明王) 大分県真木大堂 藤原時代 重文

 大威徳明王.jpg

4 軍茶利明王(ぐんだりみょうおう)

  虚空蔵菩薩の化身で、五大明王のうち南方守護の一尊です。

  大咲明王(だいしょうみょうおう)、甘露金剛(かんろこんごう)、吉里吉里明王(きりきりみょうおう)などと呼ばれることもあります。

  一面八臂(まれには四面四臂)三眼で、一対の腕を胸前で交叉し、掌(てのひら)を両肩に当てる折伏の印を結んで踏み分け蓮華上に立っていますが、特筆すべきは何匹もの毒蛇が顔、耳、腕、足に絡み付いているという身の毛のよだつ姿をしています。

軍茶利明王 大覚寺 鎌倉時代 重文 

軍茶利明王.jpg

4 金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう

  印度の子沢山の王様の末の王子で、千人の兄が成道(じょうどう)して仏になった後、残った1人は兄達を悩ましてやろうと邪鬼(じゃき)になり、また1人が金剛夜叉明王となって北方守護の一尊になりました。

 三面六臂五眼の異相で、弓矢・法輪などを持つほか、一対の腕で鈷(こ)を振り回し、踏み分け蓮華上に立っています。

 また一切の煩悩を食い尽くすという意で金剛食(こんごうどんじき)とも呼ばれます。

金剛夜叉明王 大覚寺 鎌倉時代 重文

 金剛夜叉明王.jpg

6 愛染明王(あいぜんみょうおう)

  悪魔悪神の折伏に霊験(れいけん)があり、災害消除の善神です。また芸術の神としても人気があります。大慈悲心が骨髄(こつずい)を砕(くだ)き、血涙が体中の毛穴から噴出して、ためにその肌の色はあくまで赤く、赤蓮華上に座しています。三眼にして怒髪(どはつ)天を衝(つ)き五股鈎(ごここう)を飾った赤い獅子冠を戴き、六臂には弓箭(ゆみや)・宝鈴・蓮華・五鈷(ごこ)等を持っています。

 愛染明王 西大寺 鎌倉時代 重文

 愛染明王.jpg 

7 倶利伽羅明王(くりからみょうおう)

  剣(不動明王)に纏(まと)わりつく黒竜が本体で、不動明王の法力(ほうりき)を具現した仏様です。

  倶利伽羅龍王像法によると、忿怒の相貌(そうぼう)で甲冑(かっちゅう)を着け、左手は羂策を持って腰にあてがい、右手は肘を曲げて上に向けて剣を執(と)り、頭上に竜王が蟠(わだかま)っているとされています。

 (以下、次回に続く) 

 松戸:高見航毅

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