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2009-03-18 (水)

北京あんなことやらこんなことやら(42)

 ~北京生活3周年を迎えて思うこと~

大学近くの商店街(北京市朝陽区)
42-1 商店街.JPG 定年後に北京に来て、2月で丸3年が経った。とりあえずは北京五輪までは住んでみようと思ってやって来たのだが、幸い大学で日本語を教えるチャンスを得たことから、あと少なくとも1年半は北京での生活を続けることになりそうだ。

この3年間、中国で生活をしてみて強く感じたことは、日本人の価値観を基準にして、「これはおかしい、あれは問題だ」と中国を批判することよりも、「世界的に見ると中国の方が一般的で、日本の方が“特殊”なケースが多いのではないか」と認識した上で、中国を理解するように努力することが大事ではないかということである。この場合「日本が特殊」と言っても、少数派ということで、決して悪い意味ではない。

具体的に言えば、中国の人はモノをストレートに言うし、自己主張が強くて、例え自分が悪いと思っていても謝らない人がいる。私自身は、欧米人とそれほど多くの付きあいがある訳ではないので、断定的なことは言えないのだが、色々な書物や人の話を聞くと、「自己主張は控え、すぐに謝る」日本人の方が珍しいのであって、“グローバルスタンダード”は、中国人の方かも知れないと思うようになった。

また、日本の店員のサービスや企業のアフターサービスの良さも、世界的に見れば“特殊”であって、サービスの良くない中国の方が、世界的に見れば一般的なのかもしれない。中国のサービスは、昔よりは確実に良くなってはいるものの、3年経っても店員の態度の悪さに腹が立つことは、今もある。しかしサービスの良くないことの方が、より一般的だと思えば、腹の立つ度合いも弱まるし、逆に日本のサービスは、お客のほうが悪い時でさえ、店員が謝らなければならない不合理なケースもあり、疑問を感じることがある。

朝の社交ダンス(北京市海淀区)
42-2 公園での社交ダンス.JPG さらに中国人の仕事のやり方が、どちらかといえば杜撰でアバウトな傾向があることに関しても、モノごとを緻密にやらないと気が済まず、消費者の使い勝手を真剣に考えてモノづくりをする日本の方が“特殊”であって、中国と同様な国の方が多い気がする。勿論、この面における日本の“特殊性”は、非常に貴重なもので、これがあるからこそ「技術立国」が成り立ち、「メイド イン ジャパン」が世界に行き渡っていることは、重々承知した上でのことである。

卑近な例を挙げれば、食べ物を包むためのラップを使う時に、中国製と日本製の商品の違いを強く感じる。中国製のものはラップの頭出しだけでなく、必要なところで切るのさえ大変難しく、使う人に技術が求められる程だ。しかし日本製のものや日系企業のものは、とてもスムーズにラップの頭を出すことが出来るし、しかも切りやすい。日本製品の良いところは、客が使う時に使い易いように工夫をしていることだが、中国製は作ればそれで良いと思っている印象を受ける。韓国製のラップならば少しは良いかなと思って買ったこともあるが、使い勝手は中国製のものと余り変わりがなかった。

馬車を使った果物売り(北京市朝陽区)
42-3 馬車.JPG そして最後に日本人の「綺麗好き」「清潔好き」。中国で悪化する大気汚染や水質汚染は、早急に対策を取り、早く解決して欲しいものだが、日本人の「綺麗好き」は、やや神経質な傾向も無いとは言えない。私は、決して体が丈夫な性質ではないが、「多少の埃っぽさ」「汚れ」には、大分慣れた。体内には多少の雑菌があった方が、体外から入ってくるばい菌には抵抗力があるとも言われる。

東京に帰った時には、適度な湿度のある空気が肌に優しく感じるし、汚染されていない大気にホットすることは確かなのだが、これは気候の違いも大きいので致し方ない。いま住んでいる大学の宿舎は、老朽化しているため、地熱を利用した給湯システムからは、時として泥水のお湯が出てくるし、おまけにそのお湯がなかなか熱くならない。また排水の力が弱いために時々詰まりそうになるトイレでは、トイレットペーパーを流さないようにと言われ、仕方なくゴミ箱に入れて、服務員が一日おきに捨てるというやり方をしているが、それにも慣れて来た。

中国にやって来た日本人や、日本で中国人と付き合うようになった日本人が、中国嫌い、中国人嫌いになるのは、往々にして日本人の価値観を基準にして「良し悪し、好き嫌い」をすぐに判断してしまう所に一因があると思う。その時に「中国の方が一般的で、日本の方が“特殊”なのかもしれない」と思いながら、郷に入っては郷に従うように努力すれば、不満を感じることも少なくなり、中国の良さ、中国人の良さを冷静に観察できるようになるのではないかと考えるようになった次第である。


北京:中村 治

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