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仏様紳士録ー古寺巡礼ガイドブックー(11)
菩薩
菩薩とは、永遠に修行を怠(おこた)らない人の意で、私達衆生のブラザーとして、共に修行しながらサポートしてくれる方々です。つまり煩悩の此岸(しがん)から、浅瀬や流れのゆるやかな所を導いて苦海を乗り切り、共に如来の浄土すなわち悟りの彼岸(ひがん)を目指すのです。
まだまだ修行中ですので、如来のように虚飾を捨てきれず、宝冠や腕釧・瓔珞などを装っています。
一見して女性のような優しい顔貌(かおかたち)をした方が多いのですが、全員男ですから…残念!
1 観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)(観自在菩薩(かんじざいぼさつ))
観音様というと、菩薩の中で最も人気の高い方で、たとえ不信心の人でも知っています。阿弥陀ゼミの優等生で、「救世(ぐぜ)」を卒論のテーマにして、毎日忙しく東奔西走(とうほんせいそう)しています。
身ひとつではとても手が回らないので、六あるいは七、さらに三十三に分身して凌いでいます。阿弥陀三尊では本尊の左に侍しています。
・ 六(七)観音
① 聖観音(じょうかんのん) 右手に施無畏印を結び、左手に半開きの蓮華を持つ、観音様の基本のお姿をされています。餓鬼道(がきどう)に堕(お)ちた衆生の救済をします。
② 千手観音(せんじゅかんのん)十一面の顔があり、また千の掌(てのひら)にそれぞれ眼が付いているので、正しくは十一面千手千眼観世音菩薩という長い尊名です。
③ 馬頭観音(ばとうかんのん)頭頂に馬の頭を付け、駿馬のような大馬力を象徴しています。畜生道(ちくしょうどう)に堕ちた衆生の救済が役割です。
④ 十一面観音(じゅういちめんかんのん)千手観音と同じく、頭の周りに慈悲面3面、忿怒面3面、不笑不瞋面(ふしょうふしんめん)(無表情)3面および頭頂に過去正法明如来(かこしょうほうみょうにょらい)の仏面を立てており、ご自分の顔と合わせて十一面あります。修羅道(しゅらどう)(争い)の救済を心掛けています。
⑤ 准胝観音(じゅんていかんのん)三つの眼を持っています。准胝というのは「清浄」という意味で、人道の救済を行っています。
⑥ 如意輪観音(にょいりんかんのん)半跏の姿で六臂(ろっぴ)(腕が6本)です。うち1本は頬杖(ほおつえ)をついています。天道の能化(のうけ)を旨としています。
⑦ (不空羂策観音(ふくうけんさくかんのん))立ち姿で六臂です。うち一手に羂策(本来は狩猟の罠。苦界でもがく衆生を漏れなく救う道具)を持つことからこの尊名で呼ばれています。
・ 三十三面観音
楊柳観音(ようりゅうかんのん)
滝見観音(たきみかんのん)
白衣観音(びゃくえかんのん)他・・・
2 勢至菩薩(せいしぼさつ)
観音様と同じく阿弥陀ゼミの優等生です。大変な智慧者で、釈迦ゼミの文殊菩薩に比肩(ひけん)します。阿弥陀三尊の脇侍を勤め、本尊の右側に侍しています。
お姿は頭上に宝瓶(ほうへい)を戴(いただ)き、左手に蓮華を持っていますが、来迎(らいごう)のときには観音菩薩ともども合掌(がっしょう)をされています(京都三千院)
十一面観音 聖観音 天平時代 国宝
如意輪観音 室生寺 貞観時代 国宝
不空羂策観音 東大寺 天平時代 国宝
勢至菩薩 清涼寺 貞観時代 重文
3 地蔵菩薩(じぞうぼさつ)
忍耐強くて、動かざること地の如く、また静慮親密(せいりょしんみつ)なること秘蔵の如くであることから、この尊名で呼ばれています。釈尊入滅後、弥勒が下生して世の中を救済し始める五十六億七千万年の後までは、この菩薩が衆生を導くことになっています。
また閻魔(えんま)大王の化身とも言われ、しばしば十王(閻魔庁の判事は10人)像と一緒に祀られます。像容はご存知のように簡素な比丘(びく)(僧)の姿で、田舎の辻には六体の地蔵が赤い前垂れをして、並んで立っているのを見かけることがあります。
・六地蔵
観音菩薩と同じく六道の化道(けどう)を旨としています。
① 金剛願(こんごうがん)地蔵 左手に閻魔帳 右手に成弁印(じょうべんいん) 地獄道済度(さいど)
② 金剛宝(こんごうほう)地蔵〃 宝珠 〃 甘露印 餓鬼道済度
③ 金剛悲(こんごうひ)地蔵 〃錫杖(しゃくじょう)〃引接引(いんじょういん) 畜生道済度
④ 金剛幢(こんごうどう)地蔵 〃金剛幢 〃 施無畏印 修羅道済度
⑤ 放光王(ほうこうおう)地蔵〃錫杖 〃真願印(しんがんいん) 人道済度
⑥ 預天賀(よてんが)地蔵〃如意珠 〃説法印 天道済度
4 虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)
大慈悲の智慧を無尽蔵に持っているという仏様です。また智慧のほかに福徳や美声が授かるという現世利益の面もあります。
像容は色白の肌に五智の宝冠をかぶり、左手に蓮華、右手に降魔(ごうま)の利剣(りけん)を持っています。
虚空蔵菩薩 神護寺 貞観時代 国宝
5 普賢菩薩(ふげんぼさつ)
この方は父が阿弥陀様、兄が文殊菩薩という仏界のサラブレッドの血筋で、阿弥陀仏の慈悲の体現者とされています。このように血筋的には阿弥陀様の脇侍を勤めるのが筋だと思いますが、多くの場合釈尊の脇侍を勤めています。阿弥陀如来も、現身仏釈迦の説く仏説上の法身仏ですから、差し支えはないのかもしれません。
お姿は、諸行を良く摂取(せっしゅ)する「軟耐(なんたい)」を意味する白象に乗るか、あるいは蓮華上に座して、手に経巻(きょうかん)を持っています。
6 文殊菩薩(もんじゅぼさつ)
「三人寄れば文殊の智慧」などと。古来「智慧の文殊」として知らぬ人はありません。
人間界の智慧の第一人者と謳(うた)われた維摩居士(ゆいまこじ)を病中に見舞って、互いに激しい問答を交わしたなどという、壮烈な逸話が残っています。
普賢菩薩と共に釈迦如来の脇侍を勤め、頂髪を五髻(ごけい)(もとどり)に結って、五智の宝冠を被り、右手に利剣、左手に経巻を持って獅子に跨っています。獅子は奮迅(ふんじん)して諸惑(しょわく)を断破(だんぱ)するの意です(ときに獅子の手綱を、仏像を最初に作った人と伝えられる優大王(うでんだいおう)が引いていることがあります)。ただし禅宗の僧堂では簡素な僧形をしています。
普賢菩薩 大倉文化財団 藤原時代 国宝
文殊菩薩 般若寺 鎌倉時代 重文
7 日光菩薩(にっこうぼさつ)・月光菩薩(がっこうぼさつ)
薬師三尊の脇侍として現されます。薬師如来の理知の体現者としての日光菩薩、慈悲の体現者としての月光菩薩です。それぞれ頭上に日輪と月輪をつけた尊像もありますが、多くは普通の菩薩の姿のままが多いようです。 (以下、次回に続く)
松戸:高見航毅
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