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仏様紳士録ー古寺巡礼ガイドブックー(10)
如来
如来(仏、仏陀)とは最高の悟りの境地に到達した方のことで、宝冠、腕釧(わんせん(腕輪))、瓔珞(ようらく(胸飾り))といった装身具(虚飾)を着けず、坊主頭(印度人特有の縮れ毛=螺髪(らほつ))に法衣(ほうえ)だけの簡素なお姿を基本としています。 また身長は経典に一丈六尺と記されていて、立像で5mほど、坐像で2.5mほどの如来像をとくに丈六仏(じょうろくぶつ)といいます。
1 毘盧遮那如来(びるしゃなにょらい)(盧舎那仏(るしゃなぶつ))
日を神格化した仏で、除暗遍明(じょあんへんみょう)(智慧の光明で煩悩の暗(やみ)を遍(あまね)く照らす)の意です。
華厳経の本尊として、奈良東大寺、唐招提寺や、福岡太宰府の観世音寺(かんぜおんじ)などにいらっしゃいます。簡素な如来のお姿ですが、手印(しゅいん)はさだまったものがありません。
盧遮那仏 唐招提寺 天平時代 国宝
2 大日(だいにち)(覚王(かくおう)=覚者の王様)如来(にょらい)
密教の大日教においては、盧遮那仏が大日如来として説かれています。
大日如来には、金剛界(こんごうかい)(智慧の法身)と胎蔵界(たいぞうかい)(慈悲と徳の法身)の二つの姿があります。
・ 金剛界大日如来金剛石(こんごうせき)、すなわちダイアモンドのように堅固で、絶対普遍な仏の智慧を表します。覚王としての威厳(いげん)を示す(虚飾ではない)宝冠、瓔珞を着けています。台座上に結跏趺坐(けっかふざ)(両足の裏を上に向けた胡坐(あぐら))して、印相は独特の智拳印(ちけんいん)です。
・ 胎蔵界大日如来恰(あたか)も母胎(ぼたい)のように慈悲や徳を蔵していることを表します。金剛界大日如来と同様、覚王としての威厳を示す容儀(ようぎ)をしています。台座上に結跏趺坐して、印相は法界定印(ほうかいじょういん)です。
金剛界大日如来 栃木県遍照寺 鎌倉時代 重文
3 釈迦如来(しゃかにょらい)(不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい))
お釈迦様のについては前述しましたので割愛(かつあい)します。
簡素な如来の姿で台座上に結跏趺坐する姿が一般的で(清涼式釈迦は立像)、印相は説法印や定印(じょういん)の例が多いようです。 脇侍(わきじ)に普賢菩薩(ふげんぼさつ)(釈迦の慈悲を分担)、文殊菩薩(もんじゅぼさつ)(智慧を分担)を配すると三尊になります。
不空成就如来というのは密教の五智(ごち)如来のときの尊称です。
奈良県室生寺 釈迦如来 貞観時代 国宝
4 阿弥陀如来(あみだにょらい)(無量寿如来(むりょうじゅにょらい))
阿弥陀経に「是(これ)より西方、十万億仏土を過ぎて世界あり」と説かれている、極楽浄土の教主として有名です。
印相は妙観察智印(みょうかんさっちいん)で台座上に結跏趺坐し、脇侍に観音菩薩(弥陀の慈悲を分担)、勢至菩薩(せいしぼさつ)(智慧を分担)を配すると三尊になります。なお本願寺の阿弥陀さんは立像で説法印です。
また衆生が往生のときを迎えて極楽浄土に誘(いざな)われる時、その人の生前の所業によって、迎えられ方が異なると説く、いわゆる九品仏(くほんぶつ)の教えがあります。生前の所業を上品(じょうぼん)~中品(ちゅうぼん)~下品(げぼん)の三品(さんぽん)に、これをさらに上生(じょうしょう)~中生(ちゅうしょう)~下生(げしょう)の三生(さんしょう)に分けた、つまり全部で九段階に評価して、例えば上品上生であれば、五色の瑞雲(ずいうん)がたなびく金銀七宝(しっぽう)をちりばめた宮殿・楼閣に、二十五菩薩ほか大勢の眷属(けんぞく)を従えて、阿弥陀様みずからが手を取って極楽へ迎えられるのですが、最低の下品下生の判定になると、しばらくは地獄の劫火(ごうか)に追い立てられた末に、やがて使いが現れて極楽へ連れられるというものです。
この九品の弥陀の印相は、下生が妙観察智印、中生が転法輪印(てんほうりんいん)、下生が説法印で、それぞれ親指と人差し指で輪を作ると上品、親指と中指で中品、親指と薬指で下品となります。 現存する九品の弥陀は、京都(奈良からが近い)の浄瑠璃寺(じょうるりじ)が最も有名ですが(国宝)ここの諸尊はみんな上品上生印を結んでいます。
阿弥陀如来 平等院鳳凰堂 藤原時代 国宝
5 医王薬師(いおうやくし)(瑠璃光(るりこう))如来
東方の瑠璃光浄土の教王で、台座上に結跏趺坐し、印相は右手が施無畏印(せむいいん)、左手に薬壷を持つ姿が印象的です。
薬師三尊というと、日光菩薩(智慧を分担)、月光(がっこう)菩薩(慈悲を分担)を脇侍としますが、眷族として十二神将(しんしょう)と七千夜叉(やしゃ)がいます。
薬師如来 奈良薬師寺 白鳳時代 国宝
6 弥勒如来(みろくにょらい)(菩薩(ぼさつ))
弥勒は未来仏といって、今の世にはまだ出生(しゅっしょう)していません。
釈尊の入滅後五十六億七千万年の後に下生(げしょう)されて、衆生を教化・救済する役目を託され、今は兜率天(とそつてん)の内院で沈思黙考(ちんしもっこう)されています。
そのため現在のお姿は半跏思惟(はんかしい)の姿勢で、右の人差し指を頬(ほお)にあてて思案に耽(ふけ)る菩薩像の方が一般に知られています。
有名な京都太秦広隆寺(うずまさこうりゅうじ)の弥勒菩薩(国宝)の儚(はかな)いお姿に我を忘れ、その唇に接吻(せっぷん)しようとして、誤って指を折ってしまった、稀代(きだい)のロマンチストが話題になったことがありました。
一方はるか後の世に如来になって、衆生教化にあたるときのお姿もほうぼうにあります。
台座上に結跏趺坐して、左手を下に垂れる触地印(しょくちいん)をされるのが基本ですが、定印を結ぶ像もあります。
弥勒菩薩 京都広隆寺 飛鳥時代 国宝
松戸:高見航毅
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