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2008-11-30 (日)

麻生政権、場当たりの中小零細支援で死屍累々

融資の申請をする中小企業.jpg 
中小零細業者が融資の申請書を受取りに訪れていた(東京都中央区役所)

 「政局より政策」「肝心なのはスピード」(10月30日記者会見)などと言いながら第2次補正予算の今国会への提出を見送った麻生首相。「なぜ出さないのか?」と記者団に問われると「第1次補正予算が効いているから」と言い放った。ところが実際は場当たり的なため、中小零細業者や対応にあたる市町村区役所は混乱しているようだ。

 東京商工リサーチの調べによると10月の中小企業の倒産件数は、前年同月比13%増の1415件に上り、1万6883人もが職を失った。父ちゃん一人に妻・子計2人がぶら下がっているとしたら5万649人が路頭に迷う計算になる。

 麻生首相が『ミゾユウ』の金融危機を受けて打ち出した景気対策を裏づける第1次補正予算の目玉のひとつに中小零細企業支援策がある。政策を実施する窓口は市町村区役所だ。東京都中央区のケースを取材した。

 中央区には従業員20人未満の中小零細事業所が37504軒あり、全事業所の85%を占める。日産、資生堂、王子製紙など名だたる大企業が本社を置いているが、中小零細の事業所がひしめく地域でもある。

 第1次補正予算を受けた東京都の中小企業制度融資が始まったのは10月31日。最高限度額2億8000万円の融資を受けるために中央区役所の商工観光課を訪れた中小零細業者は1ヶ月足らずで1007人に上る(11月27日現在)。1日平均40人だ。

 平日だけでは対応しきれないため同課は11月22日から土曜・日曜も窓口を開けている。役所の職員だけでは足りず中小企業診断士にも手伝ってもらっている状態だ。

融資認定調査.jpg
 中小企業診断士も加わって融資資格の認定審査に追われている(写真:上下とも筆者撮影)


 市町村区役所が実際に行うのは、申請に訪れた業者が融資を受ける要件を満たしているのかを審査する認定業務だ。「売り上げ」や「利益率」が3%以上落ちているか、「特定不況業種」に入っているかが審査される。

 10月31日から「売り上げ」「利益率」の落ち込みがそれまでの5%から3%に引き下げられ、「特定不況業種」は185業種から545業種に拡大された。セーフティーネットを広げるねらいだ。

 ところが市町村区役所に東京都から説明があったのは、実施わずか9日前の10月22日だった。11月24日からは「不況特定業種」はさらに618業種に拡大されたのだが、国や東京都からの説明はなく現場の区役所は中小企業庁のホームページで知った、というありさまだ。

 周知不足で最も混乱するのは、融資を希望する業者と窓口の区役所だ。業者はこれまで通り銀行に行くと、「区役所で審査を受けて下さい」と言われる。区役所は業者に制度を一から説明しなくてはならない。

 筆者が中央区役所で取材していた時も、窓口には中高年男性が次々と融資の申請書を受け取りに来ていた。

 中小零細企業は、1日遅れで手形が不渡りになり倒産したりする。麻生首相は自ら「スピード」などと言っておきながら、場当たり的な政策の結果混乱を生じさせ、それが遅延をもたらしている。 

 帝国データバンクによれば今年に入ってからの上場企業の倒産件数は30社(26日現在)で、戦後最多となった。上場企業の下請け・孫請けの中小零細企業は煽りをくらって、今後バタバタと倒産していく恐れがある。

 年末は資金繰りに行き詰まり自殺者や郵便局強盗が増える。「中小零細業者とその家族の死屍が累々と重ならないためにも、中味をちゃんと詰めた2次補正予算案を年内に出すべきだ」。まともな政権ならこう言いたいところだ。だが末期症状を呈している麻生政権には、もはや景気対策は期待できない。

東京:田中龍作
この記事の初出は
日本インターネット新聞
(JANJAN)です

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