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秋の匂いを求めて
札幌ではさわやかな秋が続いています。
9月中旬を過ぎても最高気温が25度まであがり、朝の冷え込みもそれほど強く感じません。
人間様にとってはしのぎやすい天気が続くのはありがたいですが、植物の世界ではどうでしょうか。
週末の2日間、秋の匂いを求めて近郊の野山を歩き回りました。(写真下右:野幌森林公園)
森に入ると紅葉にはまだ早いものの、葉の色彩が夏の緑一色から、赤や黄色がまだらに混じり、徐々に変わっているのを実感します。
けどよく見ると赤くなってる葉に異変を感じます。
赤というよりは赤茶けて一部黒ずんでおり、くしゃくしゃの葉が目立ちます。
暖かさと水不足の影響でしょう。
紅葉は最低気温が8度まで下がると色づき始め、寒暖の差が大きければ大きいほど紅葉は映えると言われています。
ところが毎朝テレビが報ずる札幌の朝6時の気温が15℃以上では、そのような環境にはまだなっていないようです。
早くもことしの紅葉はこのまま終わってしまうのだろうかという声も聞こえてきました。
例年ですと、いち早く紅葉するツタウルシがまだ青々としていました。
森を歩くとぷ~んと甘い匂いが風に乗ってきました。
見上げるとカツラの大木です。(写真下)
まだ黄葉は進んでいませんが、この匂いをかぐと、やはり秋なんだと思います。
ハート型の葉がかわいいカツラは黄葉すると、独特の芳香を放ちます。
昔懐かしいカラメルの匂いです。
カツラは「香出(かづ)」が語源といわれて万葉の時代から詠まれており、 英語で katsura tree と日本語が通用する数少ない日本特有の樹です。
材質も良くて趣味の碁盤が作られ、径80cm以上の大木を見るとこの樹から碁盤がどれだけ作れるかなといつも思ってしまいます。
これから徐々に黄色が支配することでしょう。
足元に赤みがかった実がふさふさとなっていました。(写真右)
ウインナーソーセイジのような実です。
スモールバナナという人もいます。
ツチアケビです。
昔の人はアケビのようだと見たのでしょう。
数年前ツチアケビを初めて観察したときびっくりしました ツチアケビはランの仲間だというのです。
こんな実をつける植物が、ランの仲間?
ランのイメージと程遠い実です。
けど図鑑には確かにラン科と記載されています。
半信半疑でした。
ところが、今回初めてツチアケビの花も観察できました。(写真下左)
間違いなくランの特徴の唇弁がついていました。
納得です。ツチアケビはランの仲間です。
それにしても立派な実がなっているのに、花もなぜついているのだろう。
花が咲いているときは実はなく、実がなるときには花はすでに終わっているというのが一般的です。
雌雄同株なのかな、もしそうなら、花が咲いているのはまだ受粉がうまくいってないのかな?
専門家に聞いてみよう。宿題が残されました。
ツチアケビの実は周囲の草が枯れる晩秋でも残っています。
かじられた実を見たことはありますが、なぜこんなに目立つ実を小動物や鳥は喜んで食べないのだろう。
これも不思議です。
ウインナーだと思うと人間なら喜んで食べるのに・・・
森のあちこちに秋の野菊が観察されます。
一口に野菊といっても数十種類あるそうですが、札幌近郊ではエゾノコンギク(写真下左)・ユウゼンギク(写真下右)が多く生育し、まれにネバリノギクが観察されます。

このうちユウゼンギクとネバリノギクは観賞用に栽培されていものが、野生化したものです。
エゾノコンギクは「野に咲く紺色の菊」という意味で、北海道の山野に普通に見られます。
一見同じような花に見えますが、エゾノコンギクは葉が広くてざらざらなのに対し、ユウゼンギクは葉が狭くてつるつるしています。
また花弁はエゾノコンギクは20個以下(写真上左)で隙間があるのに対し、ユウゼンギクは20個以上(写真上右)あって花弁がびっし
り詰まっていて豪華に見え、それゆえユウゼンギク(友禅菊)と言われています。
菊花展に出品されるようなゴージャスな菊ではありませんが、野に咲く菊も可憐なものです。
ヤマブドウの葉も赤くなってきました。(写真下左)
繁殖力が強くて嫌われもののオオアワダチソウが揺れています。(写真下右)

森には着実に秋の匂いが風に乗っていました。
23日は秋分の日です。
暑さ寒さも彼岸までといいます。
ただこれはあくまで本州で言えることで、冷温帯の北海道では例年なら冬の準備です。
けど ことしは本州と同じく、彼岸を境に朝晩がぐんと冷え込むという天気予報です。
これから紅葉黄葉は駆け足でやってくることでしょう。
札幌:望田武司
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