日本Webリポート&ニュース

2008-04-08 (火)

メディアも消費者も、気が付かないガソリン減税の実態

 4月1日に期限切れとなった暫定税率問題。「ガソリン価格の急落を喜ぶ消費者」というタイトルが、マスメディアの画面と紙面から一斉に消えうせた。あれからまだ7日しかたたないというのにだ。その傍ら、「ガソリン価格の安値大賛成」というアンケート調査の結果を開陳し、悦に入るメディアもある。そんな結果は当然だ。「値上げは反対・値下げは賛成」など、常に変わらぬ世論。2兆6千億の税収がなくなった結果を伝えるのが報道陣の役ではないか。本質を見失ったメディアなど、暫定税率を政局にした小沢民主党と同罪だ。厳しく糾弾せずばなるまい。

   119円のガソリン.jpg
            119円の安値でも、閑散としたGS(7日撮影:今藤泰資)

 石油情報センターの報告による今回の値下げ幅、4日現在の時点で都道府県別最大値を示したのが、北海道の152.2円から131円(-23.2円)、全国平均では152.9円から1343円(-18.6円)。最も実勢価格に近いと評判の高いガソリン価格サイト「go go gs」でさえ、7日現在の全国平均価格は126.9円(前週比ー22.9円)である。これを不思議とも何とも思わないのが、愚かな消費者と鈍感なメディアという構図。ちょっと気になったので注意を喚起しておきたい。

 石油の事情通を自負するわたしは今年1月16日、この記事で、情報を提供し警告を発した。2日後に始まる通常国会の最大の論点となり、政界はもちろん財界も企業も消費者も混乱すると考えたからだ。わたしが案じたとおりの事態になったが、肝心のところが狂っていた。ガソリン価格が、引き下がった税率どおり25.1円、値引きされていないのでだ。業界の一部には、「5円の値上げと25円10銭の値引き」という表現の販売会社があった。それでも納得できないのが、今回の価格変動。どこか狂っていると考えるのは、わたしだけなのか。

 不思議に思う理由の一つは、昨今の「円高」だ。為替差益の最大の恩恵者は石油業界なのである。自動車業界を筆頭とする輸出依存型の日本経済を案じる(あるいは騒ぎすぎる)論調はあっても、原油高と円高の相関関係を解説する声が聞こえてこない。確かにGS運営者の疲弊は目を覆うばかりだ。過度の販売競争に加え、省エネ車の台頭は売り上げ減を招き、将来はただ1か所もGSのない自治体が出現すると予想されている。とはいえ、業界全体ではまだまだ潤っているはずだ。

 GSの業界団体である全石連(全国石油業組合連合会、全国石油業共済協同組合連合会の総称:会長関正夫氏)のホームページの最新ニュースは、3月28日付の「暫定税率期限切れ前に市場混迷」だけである。ガソリン税は(事実上)下がったが、さらに値上げが必要な業界ならば、消費者への公式コメントがあってしかるべきだろう。原油高や円高という外因。減税という内因。石油業界はこれらをひっくるめての説明責任を果たさず、メディアはこの事態を追及しない。消費者は多少の値下げで安心し、「なぜ25円以上の値下げ」をしないのかと考えない。奇怪なねじれ現象が国会以外にもあると気付かないでいる。あるいは、話せば不都合だから沈黙を護(まも)っている。

 わたしはライブドアが運営するネット新聞PJニュースで、「ガソリンの平均価格」ほどいい加減な価格体系はないと主張してきた。だがそれにしても、どの数字を取り上げても、リッター25円以上の値引きにはなっていないのは、「便乗値下げ」ということにならないか。いずれまた、どのような形にせよガソリン価格が上昇するのは必至。値上げに伴う「平均価格」はいくらになるのか、奇妙な楽しみが増えた。ただしだ、間違ってもらっては困る。ガソリン価格大混乱のA級戦犯は、後手後手政治家・福田サンの国会運営と、混乱大好き男・小沢サンの政治信条にあり、石油業界のみ追及するのはお門違いなのである。

      フリージャーナリスト:今藤 泰資

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