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2008-04-06 (日)

衝撃 北朝鮮住民による告発雑誌「リムジンガン(臨津江)」創刊

                 

石丸次郎氏.jpg
「リムジンガン」創刊の経緯を語る石丸次郎氏
(3日、日本外国特派員協会にて筆者撮影)

 北朝鮮の住民が自らジャーナリストとして筆を持ち、国内の生活を淡々と世界に知らせる季刊誌、臨津江(リムジンガン)日本語版がこのほど創刊された。3日、日本外国人記者クラブで会見をひらいた発行人の石丸次郎氏(アジアプレス)は同誌朝鮮語版と合わせて「1人でも2人でも多く北朝鮮の読者を獲得したい」と話し、北朝鮮住民の自発的な反応を期待した。

 創刊号は、北朝鮮のミサイル発射事件や韓国の盧武鉉大統領(当時)が訪朝した際の民衆の反応、北朝鮮の経済官僚へのインタビューなどを特集。また、金正日総書記が地方視察した際、チャイナドレスを着た現地の「喜び組」に驚いて平壌に帰ってしまったというジョークめいた逸話も収録されている。

 執筆者は、北朝鮮の住民や中国への脱北者が中心。北朝鮮の統制機関や労働党秘書の経験者もおり、外国人ジャーナリストには困難な北朝鮮国内の実情を、隠し持ったビデオカメラや録音機を使って取材。ビデオテープの受け渡しは北朝鮮国境を越えて中国で行われる。記者の名前は安全上の配慮から仮名が使われているが、記者の素性は発行元である編集部が把握している。

 石丸氏が北朝鮮の取材をはじめた1993年ごろは、北朝鮮国内の協力者からビデオの映像や情報を得ていた。しかし北朝鮮国境付近の難民を600人近く取材してきた石丸氏は、協力者から情報を得るだけでは限界を感じるようになった。「(協力者には伝達・記録することの)主体性がなく、情報の質が高くなっていかない」、さらに「情報の信憑性に不安があった」という。

 「いまのままでは北朝鮮の人々がこの苦難の時代をどう生きて死んでいったのかが、まったく記録に残らない」。石丸氏は北朝鮮のメンバーとの話し合いでこういった認識を共有した。02年、国内の協力者や脱北者からジャーナリストへの関心を持ち、身の危険を顧みず自分たちで情報発信したいという声があがりはじめた。北朝鮮では、国外への情報発信がスパイ行為として当局に摘発されてしまう危険がある。「北朝鮮に協力者ではなく、ジャーナリストを作ることが時代の要請であると考えた」と石丸氏。

 リムジンガン朝鮮語版の編集担当である崔真伊(チェ・ジニ)氏は「北朝鮮社会を浄化するような雑誌になってほしい」と話した。チェ・ジニ氏は99年に脱北し、韓国に亡命した。梨花女子大学では修士課程を修了、女性学を専攻した。北朝鮮住民の意見が反映されないことが国内の政治を悪化させたとしたうえで、「北朝鮮の外と中をつなぐ橋渡しになれば」と抱負を語った。

 同誌朝鮮語版は隔月発行で、日本語版と6月発行予定の英語版は季刊。合わせて3000部を発行し、すでに一部が北朝鮮や中国に搬入済みだ。「北朝鮮の在韓高官にも朝鮮語版を送った。金正日総書記に送るつもりだ」と石丸氏は話している。

東京:黒井孝明
この記事の初出は日本インターネット新聞(JANJAN)です。

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